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2018年7月~8月 辻蕎麦便り

文月。

暑い、暑い、暑い、あつ~い。
いくら書き連ねても足りないくらい暑い毎日です。
どうしたんでしょうね、日本列島。
6月もめちゃくちゃ暑い日がありましたが、今月に入り連日30度どころか35度超えとあっては、もうどうしていいものやら。
気象庁のデータベースを見ると、山形市周辺は33度とか34度の日がずらっと並んでいますが、実感はそんなものじゃありません。
35度超えというより40度に近いんじゃないかといった感じです。

盆地の山形は京都と同様にもともと暑さが厳しいところです。
なんせ1933年(昭和8年)に40.8度を記録。
これが2007年(平成19年)に岐阜県多治見市の40.9度に抜かれるまで半世紀以上にわたって日本で一番暑いところだったのです。
しかし暑さ日本一は一度記録更新されると、次々に塗り替えられるようになりました。
今月23日には、埼玉県熊谷市で41.1度まで到達。
こうなると「生命の危機」に直結する暑さも異常ではなく、普通の夏の気温になるのかもしれません。
「冗談じゃないっ」て言いたいけど。

山形市周辺では、この夏の異常さは暑さだけでなく、降雨量が極めて少ない。
今月に入って、上旬に降水量5、6㍉という日が3、4日ありましたが、あとはやたら強い日差しが厳しく注ぐだけ。
地面や建物が吸い込んだ熱が冷める機会が全くないのですから、暑さが増すのは当然です。

これだけ暑くて雨がほとんど降らないのでは、ダムや灌漑施設が整わなかった時代なら完全に干ばつに見舞われていたことでしょう。
今ではダムの放流水や最上川からの揚水によって水田が水不足に襲われるなどということはなく、稲は順調に生育していますが。
もっともその最上川も水位が下がってきて、一部の舟下りがやむなく休業宣言せざるをえないような状態に追い込まれています。

深刻なのは家庭菜園で、さまざまな影響が出ています。
わが菜園でも、異常高温が影響したとおぼしき現象が次々に。
まずはニンニク。
例年収穫時期を迎えると、さほど力をいれずともすくっ、すくっと抜けるのですが、ことしはなかなか抜けませんでした。
まだかな、と様子を見ている間に育ち過ぎて、地中で玉がばらばらになってしまいました。
土が硬くなって抜けなかったのかもしれません。
経験不足です。
ジャガイモも高温障害によって、やたらこぶをつけた奇形のものが次々と出てきました。
こんな形のものを目にするのは初めてなので、「何っ、これ」とびっくり。
いろいろ調べたところ、成熟したジャガイモが高気温にさらされることによってもう一度成長し始めたためだということです。
本当に思いもかけないことが起こるものですね。
やはり異常気象なんでしょう。

こうした中にあっても季節は確実に進み、県内各地のソバ畑では白いうねりが見られるようになりました。
いよいよ夏新蕎麦の季節がやってきます。
楽しみにしてお待ちください。

2018年6月~7月 辻蕎麦便り

水無月。

毎年のように紹介していますが、やはりこの時期の山形といえばサクランボにつきます。
全国のサクランボの約70%を生産する最大の産地ですから、ちょっと郊外に出れば、濃い緑の葉の間にルビー色の愛らしい球形が揺れる景色を至る所で目にすることができます。

今月に入って天候不順に見舞われ、肌寒い日が続いたりしました。
サクランボの出来を心配していましたが、天候の割には順調に生育したようで、収量に影響はないとのことです。
月末を迎え、サクランボの代名詞のような「佐藤錦」の収穫が終わり、新たな有力品種「紅秀峰」に作業が移っております。

サクランボのシーズンになると必ず思い出す“出来事”があります。
25年ほど前のことでしょうか。
高速道路の東北自動車道から宮城県で枝分かれし、山形市や寒河江市など中央部を通り庄内と結ぶ山形自動車道が寒河江市まで部分開通しました。
ある日曜日、ここに宮城県や福島県などからのサクランボ狩りの車がどっと押し寄せたのです。
「凄まじい渋滞」などという言葉を幾つ重ねても足りないくらいの状態になったのです。
高速道路上に延々と続く車の列が全く動かない。
何が起こったのかと車から出てきて様子を見る人たちの影が次第に濃くなっていったというのです。
一番困ったのはトイレということをニュースで知りました。
原因はサクランボ園の駐車場不足のようでした。
当時はまだそれほど観光果樹園が多くなく、サクランボ狩りの車を受け入れる駐車場はあっという間に満杯に。
入れ切れない車は高速道路からのアクセス道に立ち往生し、その後続の車は高速道路から出られないということになったようです。
今じゃ大型バスがずらりと並ぶ駐車場もあり、あんな状態を招くことなど全く考えられませんが。
地元では大ニュースになりました。

天候不順といえば、今年の山形は完全な雨不足。
梅雨に入って以降の山形県の降水量は平年比の20%ほど。
ささやかな家庭菜園は完全に干上がって、成長する作物を支える支柱も地面が硬すぎて容易に突き刺せない。
野菜の生育にも影響が大きく、せっかく発芽したにもかかわらず途中で枯れてしまうものも。
毎日のように水を掛けていますが、なかなか地面に浸み込んでいかない。
しとしとと降る雨にかなわないんです。
連日天を見上げていても、一向に降る気配がない。
雨乞いをした昔の農家の人たちの心境が少し分かったような気がします。
もっとも昔の人たちは干ばつになれば生死の境をさまようわけですから、必死さは桁違いだったでしょうが。