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2024年 2月~3月号 辻蕎麦便り

如月。
「こんな冬がこれからも続くんですかね」「夏の暑さがどうなるか、いまから心配」。
こんな挨拶が繰り返された今年の冬もそろそろ終わります。
暖冬小雪でまさに記録ずくめでした。
山形市周辺では、雪景色が数回広がったものの長続きはしません。
路面の圧雪状態は何日あったでしょうか。
幹線道路では午後になると路面がもう顔を出していました。

気象庁のデータベースを見てみますと、最高気温が氷点下の真冬日は1日もありませんでした。
それより驚くのは2月中旬の最高気温です。
11日から20日までの10日間のうち7日間が2ケタで、なんと18.9度の日もありました。
2月の山形で20度近くにまでなるなど夢にも思いませんでした。
これは4月下旬の気温です。

この陽気に誘われたかのように、月半ばに山形城跡の霞城公園で梅が開花したというニュースが流れました。
例年なら4月10日ころです。
わずか数輪狂い咲きしたのでは、と物珍しさも手伝い足を運んだところ、数本の木で10輪前後ずつの白梅がしっかり開いていました。
いつもなら桜の咲く数日前にかぐわしい香りを放つのですが。
今年は桜を大きく引き離してシーズンインしたようです。

郊外のサクランボ畑では、一斉に剪定作業が始まりました。
2月中旬といえば例年ならまだ分厚い雪に閉ざされて、文字通り人っ子1人見かけない時期。
それが乾いた畑の上の脚立に登り不要な枝を切り落とす姿をあちこちで目にします。
梅の花が咲くくらいですから、サクランボの蕾も膨らみ始めたのでしょう。
剪定は樹木が冬眠から目覚める前に行うと聞いたことがありますが、その適期が早々にやってきたということでしょうか。
しかしこれから花芽にとっては大敵の霜との戦いの日々が始まります。
農家の人たちはあまり早く蕾が開かないで欲しいと願いながら剪定バサミを動かしているのかもしれません。

こうなるとお花見が待ち遠しくなります。
山形市では昨年、平年より2週間も早い3月31日に開花宣言が出されました。
雪国山形で小学校の入学式前に桜が咲くなど、驚きを通り越してあ然としたものです。
ことしは異常な暖冬小雪だからその驚きをさらに上回るのではと思いましたが、そうではないようです。
最新の山形市の開花予報をみますと、日本気象協会が4月11日、民間気象予報会社の多くが4月6日となっています。
さすがに3月中旬の花見というわけにはいかないようです。
平年より若干早いものの昨年よりは遅い、ということは3月の気温が昨年より低いということでしょうか。
異常気象を修正するために春が足踏みをしているのかもしれませんね。

2024年02月27日

2023年 9月~10月号 辻蕎麦便り

「暑さ寒さも彼岸まで」。
今年ほどこの慣用句を実感させられたことはなかったかもしれません。
今夏の記録詰めの猛暑を引きずり、9月に入っても最高気温が連日30℃を超し、最低気温も22~23℃前後で推移。
しかも湿度が高いのか、空気が肌にまとわりつくようで、山形盆地の爽やかな初秋とはかけ離れたものでした。
ひょっとしたら秋を飛ばして真夏からいきなり初冬になるのではないかなどという突飛な考えが頭をかすめたりして。

それが彼岸の入りの20日以降、その直前までとは打って変わって秋めいてきました。
最高気温が25℃前後、最低気温は一気に12、13℃まで下降。
蒸し暑く寝苦しい夜を過ごしていたのに、一転して明け方などは肌寒さを覚えるほどになりました。
あまりの急変に体も容易に対応できません。1日の寒暖差がやたら大きいので、長袖か、半袖かなど衣服を選ぶのも一苦労です。

高温障害などで生育不良に見舞われていた野菜たちですが、中には気温が下がるにつれて元気を取り戻したものも。
わが菜園で目立つのがコリンキー。
山形県生まれの主に生で食べるカボチャです。
サラダや浅漬けなどにしますが、皮はきれいなレモンイエローで、さくさくとした爽やかな歯ざわりが楽しめます。 
  
例年通り、5月の連休後に定植し順調に育っていたのですが、なぜか花芽が極端に少ないのです。
しかも受粉し果実が膨らみ始めても、大きくなる前に腐れてしまうのです。
どうやら高温で果実の細胞が痛めつけられて腐食するようです。
今年の収穫はもう無理と諦め、今月上旬にそろそろ蔓を撤去しなければと考えましたが、あまりの暑さに作業を断念。
放置したままの蔓は空きスペースで縦横に伸びていました。
ところが気温が下がりだしてからは、受粉して誕生した小さな果実が腐食することもなく、食卓にのぼるサイズに成長。
まさかこんなことになるなんて、何が幸いするか分かりません。

もっともこれは珍しいケースかも。
多くの農作物が高温、さらに地域によって極端な少雨によって大きな被害が出ているようです。
山形の秋の風物詩「日本一の芋煮会」が17日、4年ぶりに通常開催されましたが、実行委員会では材料のサトイモの調達に苦労したようです。
このイベントで提供されるサトイモは毎年、山形市総合スポーツセンター近くの畑で栽培されています。
その前を時折通り掛かるので、車中から成長ぶりを眺めていますが、今年は様子が変でした。
例年に比べて茎の背丈が短いし、葉も小さいのです。
大丈夫なのかな、と心配していたら、例年の80%ほどしか収穫できなかったとかいうことです。

結構長年にわたりここで栽培していますが、これまでこんなことは記憶にありません。
「野菜の値段が上がってきている」というニュースが目立つようになりました。
秋冬物野菜はどうなるのでしょうか。
物価高の中、これ以上、家計を直撃しないよう順調に育ってと願うしかありません。
(2023/09/29)