e-スタイル > お医者さんに聞いてみよう > 50歳を超えたら前立腺癌を気にかけて |
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僕が米国癌研究所に勤めていたときの上司は、アメリカ人のボブさん。彼は国立癌センター長を努めるほどの癌治療の権威でした。癌のことなら知らないことのないボブさん、でも、癌を絶対治せるかというと、やはりそれは別の話です。なにしろ、ボブさん自身にも前立腺癌の疑いがあったのですから。
前立腺癌は、精液の一部を作る生殖器の癌です。米国男性の約5人に1人が前立腺癌を患い、米国の癌では発生率第1位、死亡率は第2位です。一方わが国は、欧米に比べて発生率はずっと低いのですが、PSA(前立腺特異抗原)検診が普及して、前立腺癌患者の発見数が年々増えてきました。今では、年間約四万人に前立腺癌が見つかり、2003年には死亡者数が、10年前の約2.5倍の8418人に上昇しています。 近年日本人に前立腺癌が増えている理由として、第1に、高齢者人口の増加が挙げられます。 前立腺癌は50歳以降から年齢に比例して増え、80歳になると約半分近くの男性が癌を持っていると報告されています。第2に、前立腺癌の発生に関与する動物性脂肪をとるようになったこと。そして第3に、癌診断法の進歩です。検診で血液中のPSAを調べれば、早期の前立腺癌でも発見されるようになったからです。
前立腺癌は発生しても症状が出るのに30〜40年かかり、症状が出ても、尿が近い、勢いが弱いなどと、年齢のせいだと放置されがちです。また、背骨に転移すると痛みが出ますが、腰痛として見過ごされることもあります。ですから、50歳になったら、尿の症状がなくても、年に一回のPSA検査をお薦めします。PSAの値は1■あたり4ng以下が正常とされていますが、正常範囲でも、年々PSAが上昇したり、若いうちから4の値に近いと癌が疑われます。
不眠、疲労、深酒はPSA値を変動させることがあります。ボブさんは、検査2週間前からは早めに家に帰り、酒を口にせず、人との面会も最小限にし、健康的な生活を心掛けて、検査に臨んでいました。「ふぅー、今回もぎりぎりセーフだった。」と病院から戻ると、ボブさんは、ほっと肩をなでおろし、また次の検査に向け、綿密な健康管理スケジュールを立てていました。「そういえば、日本食とグリーンチィー(緑茶)が前立腺癌の予防にいいって文献があったな。今度日本食のレシピを教えてくれ。」癌の大家といえども自身の癌には勝てません。男性には差別なく襲ってくる前立腺癌、早期発見、治療がなにより大切です。 |
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