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| カギは連携、グリーンツーリズム |
山形が観光資源に恵まれた土地であることを知ったのは、今から九年前にさかのぼる。当時、県は村山地域の観光振興に向けて十四市町の広域連携のあり方を模索しており、そのプログラムや戦略を組み立てるお手伝いをしたのだ。私たちは、観光資源を洗い出し、読み解き、再構築することで、二十一世紀に向けた観光行動計画を策定し、「絵になる風景づくり」「ボランティアガイドの養成」「雛(ひな)をテーマとした交流」といった事業を提案した。ワークショップという言葉が耳慣れなかった時代に、十四市町および県の職員と合宿を重ねながらじっくり山形の将来像を描いていった時間は、たおやかな風土やそこに住まう素朴で堅実な県民性とともに強烈な印象を残し、私にとって山形は、「観光」を考える上で幾度となくたち還る、原点のような場所になった。
山形の観光の魅力は、自然資源、風景、食文化、場、そして人だと私は考えている。松尾芭蕉やイザベラ・バードが讃えた美しい風景は、今もなお遠くから訪れる来訪者の心をとらえるし、山や川、田園のはぐくんだ文化は世代を超えて確かに息づいている。志向の多様化によりマスツーリズムが低迷するなか、観光を取り巻く環境は相変わらず厳しいが、山形の持つ日本的なもの、故郷的なものの誘客力は未だ強い。さらに近年では、オルタナティブとしてのグリーンツーリズム、エコツーリズム等も、新しいニーズを掘り起こしつつある。
私は今、庄内地方で発行されている月刊誌「スプーン」で、「庄内グリーンツーリズムの提案」という連載を担当している。農林水産業に携わる方たちによって 「都市との交流」をキーワードに研究、実践されてきたグリーンツーリズムが、庄内でもやっと地に足の着いた活動へと歩を進めつつある、その様子を、地元の方たちにこそ知っていただき、自分たちの暮らす地域の素晴らしさを改めて認識していただけたらと、農家民宿、森づくり、オープンガーデン、畑のオーナー制度などを毎月紹介させていただいている。
グリーンツーリズムというと、首都圏や仙台の大都市住民を対象とした交流をイメージされる方も多いだろうが、地元の方にこそ、近場で廉価にグリーンツーリズムを楽しんでいただきたいと強く思う。バブル崩壊後の 「安近短」が妥協の産物であったのに対し、グリーンツーリズムにおける 「安近短」 はより積極的な意味を持つ。物見遊山的な観光だけでなく、農業体験や文化体験をも提供するグリーンツーリズムは、兼業農家の努力のおかげで安く気軽に楽しめるため、近隣の住民が週末の時間を利用して楽しむのにちょうどよいレジャーだ。また、風土に馴染みがあるからこそ、文化を知る楽しみも増すし、それを通じて自らが暮らす土地への理解も深まる。再発見もあるだろう。受け入れ側も、よい顧客に支えられ、素敵な観光地に成長するだけでなく、住みやすい素敵な地域になる。地域に別の角度から光をあてることで、好ましい循環が新たに生まれうると、私は考えている。
ここでもまた、課題は連携である。グリーンツーリズムに関する施設や独自の行政施策が県内で乱立気味であることから、質の低下や利用者の取り合いによる共倒れが危ぶまれるほか、行政主導の事業も多く、自立性においても不安が残る。今後は、エリアごとのきめ細やかな交通整理と自立に向けた支援、および広域連携による品質管理が必要だろう。県による、より広域での戦略づくりや重点地域の選定等のリーダーシップを期待したい。
【出典:Future SIGHT 26号(2004年秋発行) 】 |
| (まちづくりプランナー.神奈川県 内藤 よしこ) |
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